
パソコンを選ぶ際に重要なパーツの一つが「GPU」です。GPUは、画像や映像の処理を行い、その性能によって快適さや処理速度が大きく変わります。本記事では、ざっくりとGPUの基本をわかりやすく解説します。
① GPUの機能・役割
GPUとは「Graphics Processing Unit」は、画像や映像の処理を専門に行うプロセッサです。CPU(中央処理装置)とは異なり、並列処理に特化しており、膨大な計算を同時に行うことが可能です。
当初、GPUは主に3Dグラフィックスの描画に使用されていましたが、現在ではゲームだけでなく、AI・機械学習、動画編集、仮想通貨マイニングなど、多くの用途で活用されています。
GPUの役割は多岐にわたりますが、主に以下の機能を持っています。
- グラフィック描画の処理
GPUの最も基本的な機能は、画面に表示する映像の描画です。3Dゲームでは、ポリゴンの計算やテクスチャの処理、光源の計算などを担当します。高性能なGPUほど、これらの処理をより高速かつ美しく行うことが可能です。 - 高速並列処理
CPUはシングルスレッドまたは少数のスレッドで処理を行いますが、GPUは数千ものコアを持ち、大量の計算を同時に処理できます。この特性を活かして、ゲームのレンダリングだけでなく、AIの機械学習や科学計算でも活用されています。 - 動画のエンコード・デコード
GPUは動画のエンコード(圧縮)やデコード(解凍)を効率的に行うことができます。NVIDIAの「NVENC」やAMDの「VCE」などのハードウェアエンコーダを搭載したGPUは、動画配信や編集作業を大幅に高速化します。
② GPUの性能を図るためのポイント
- VRAM(ビデオメモリ)の容量
VRAM(Video RAM)は、GPUが映像を描画するために使用する専用メモリです。
VRAMの容量が大きいと、描画遅延やカクつきが発生しにくく、スムーズなプレイや作業が可能となります。 - VRAM(ビデオメモリ)の帯域幅
VRAMの帯域幅(メモリ帯域幅)は、GPUがVRAMからデータの転送速度を示します。
単位は、GB/s(ギガバイト毎秒)で表され、帯域幅が広いほどデータの転送速度が速くなり、ゲームやクリエイティブ作業のパフォーマンス向上します。 - CUDAコア/ストリームプロセッサ数/Xecore
CUDAコア(NVIDIA)、ストリームプロセッサ(AMD)、Xecore(Intel)は、GPU内部で並列処理を行うプロセッサユニットです。CPUのコアに似ていますが、GPUは並列処理が得意なため、数千個以上のコアを持つのが特徴です。
コア数が多いほど性能は高い傾向が多いが、メモリ帯域幅・クロック速度・VRAM容量の影響も大きく、コア数のみを見て高性能と判断できないので注意。 - 消費電力
GPUの消費電力(TDP:Thermal Design Power)は、グラフィックカードが最大負荷時に消費する電力(W=ワット)を向きます。TDPが高いほど、必要な電源ユニット(PSU)の容量も大きく、補助電源が必要になり、発熱も増えます。
3. GPUメーカーとブランドの特徴
現在、GPUは主に、NVIDIA(エヌビディア) AMD(エーエムディー) Intel(インテル)のメーカーが提供しています。3社のGPUではどのような違い、特徴があるか紹介していきます。
NVIDIA(エヌビディア)
- 代表的なブランド:GeForce GTX series GeForce RTX series
- CUDAコアを搭載しており、ゲーミング・AI・動画編集・クリエイティブ用途に強い
- GeForce RTX seriesは、レイトレーシング(RTコア)・DLSS(AI超解像技術)に対応
- 2024年第1四半期に、NVIDIAはGPU市場で88%のシェア率を誇り、安定した選択肢とソフトウェアが供給されている。
- 価格が高い(特にハイエンドモデル)
AMD(エーエムディー)
- 代表的なブランド:Radeon RX series
- ストリームプロセッサを搭載しており、高解像度ゲーミング・動画編集・3D用途に強い
- NVIDIAのRTXシリーズと比べると、ストリームプロセッサベースのAMD GPUはレイトレーシング性能が低い。FSR(超解像技術)があるが、DLSSほどの性能はない。
- 2024年第1四半期に、AMDはGPU市場で12%のシェア率を獲得。
- 価格が安くコスパが良い
Intel(インテル)
- 代表的なブランド:Intel Arc
- Xecoreを搭載しており、レイトレーシング(RTコア)・XeSS(AIアップスケーリング技術)対応
- DirectX 9/11の最適化が弱く、古いゲーム(Skyrim、CS :GO 、GTA Vなど)では、パフォーマンスが不安定。DirectX 12やVulkanのゲームでは高いパフォーマンスを発揮
- 2024年第1四半期に、IntelはGPU市場では、無視できる規模として0%のシェア率になっている。
- 低価格・コスパ重視のミドルレンジGPUとして優秀。ハイエンド向けGPU(RTX 5090やRX 7090XTX)が存在しない。
- 2022年に発売を開始し始め、当初は問題が多かったですが、アップデートで改善中。NVIDIA/AMDほどの完成度にはまだ及ばない。
4.GPU型番の見方
GPUの型番は性能や世代を示す重要な情報です。以下に代表的な例を紹介します。
NVIDIA(エヌビディア)のGPU型番
例 GeForce RTX 4070TI
- 40:世代 (数字が大きいと世代が新しく、性能が高い)
- 70:グレード(数字が大きいとグレードが高く、性能が高い)
- TI:接尾辞(無印<SUPER<Ti<Ti SUPERの順番で性能が高い)
グレードの数値を比較してグラフィックボードの性能を把握できるのは、世代が同一の場合に限られ、世代が異なる場合では、グレードの数値だけで性能の比較はできません。
AMD(エーエムディー)
例 Radeon RX 7900XT
- 7:世代 (数字が大きいと世代が新しく、性能が高い)
- 900:グレード(数字が大きいとグレードが高く、性能が高い)
- XT:接尾辞(無印<XT<XTXの順番で性能が高く、GREは、WQHD解像度に特化したモデル)
グレードの数値を比較してグラフィックボードの性能を把握できるのは、世代が同一の場合に限られ、世代が異なる場合では、グレードの数値だけで性能の比較はできません。
Intel(インテル)
例 Intel Arc B 580
- B:世代(アルファベット順で後ろに行くほど世代が新しい)
- 5:モデル番号(数字が大きいとグレードが高く、性能が高い)
- 80:グレード(数字が大きいとグレードが高く、性能が高い)
世代 | モデル番号 | グレード |
---|---|---|
A: 第一世代(Alchemist) | 7xx: ハイエンドクラス(例: A770) | 80 |
B: 第二世代(Battlemage, 2024年~) | 5xx: ミドルレンジクラス(例:A580) | 70 |
C: 第三世代(Celestial, 2025年~予定) | 3xx: エントリークラス(例: A380) | 50 |
D: 第四世代(Druid, 2026年~予定) | 10 |
グレードの数値を比較してグラフィックボードの性能を把握できるのは、世代が同一の場合に限られ、世代が異なる場合では、グレードの数値だけで性能の比較はできません。
5. まとめ
GPUは、ゲームのグラフィック描画だけでなく、AIや動画編集など多岐にわたる用途で活用されています。用途に応じて適切なGPUを選ぶことが、PCのパフォーマンスを最大化するポイントです。
ゲーミングPCを購入・自作する際は、どの解像度やフレームレートで遊びたいのかを考慮し、それに合ったGPUを選びましょう。
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